身近なところでお茶や料理のアクセントに使われるハーブ。カモミールやラベンダー、和食でよく目にするシソやショウガなんかもハーブとして使われることもあります。ハーブの薬効は数千年前から知られていて、病気ではないけれど、なんとなく不快な症状(イライラする、頭が重い、耳鳴りなど)を緩和させてくれる作用があったり、ヨーロッパでは民間薬としても使われています。
では、そんなハーブを妊婦さんや授乳中の女性がとったときに、赤ちゃんにどんな影響があるのかを解説していきます。
なぜ妊娠中・授乳中にハーブをとってはいけないのか
ハーブにも色々な種類がありますが、そのほとんどにカフェインは含まれていません。
ナチュラルなものだし体に良いからと妊活中、妊娠してからもハーブティーをガブガブと飲み過ぎていませんか?
ノンカフェインだからといってハーブティーを1日に何杯も飲んではいけません。
大人とちがって赤ちゃん(胎児)は体が小さく、肝臓や腎臓の代謝機能が成長途中です。一日に何杯もハーブティーを飲んでしまうと、代謝しきれないハーブの成分が、赤ちゃんの体内に長い時間溜まることがあるのです。
お母さんが口にしたものはすべて赤ちゃんに届きます。ですので基本的に薬はNGですし(医師の処方があり飲んでもよいとされたもの以外)、アルコールやタバコも妊娠中や授乳中は控えたほうがいいというのは皆さんご存知ですね。
ハーブティーを飲む際も、できれば朝食後や午後のおやつタイムに、時間を決めて一日に1~2杯飲む程度にしておきましょう。
ハーブのサプリメントをとる際は医師に確認を
ハーブティーよりも体に何らかの効果がダイレクトに作用するのがハーブのサプリメントです。
ハーブの成分は植物由来のもの。自然の植物の中にある成分なので、さまざまな要素が合わさって1つの個として存在しています。中には安全性が確認されていない成分もありますので、妊娠中授乳中の方が服用する場合や、他の妊活サプリとや薬と併用する場合は、一度医師や薬剤師に相談したほうがいいでしょう。
このサイトでも何度もお伝えしているように、サプリメントは栄養補助の食品です。しかし、ハーブ系のサプリメントはビタミンやマルチミネラルサプリと違って、体を構成する栄養を補助するものではありません。体のなんらかの症状に作用する性質がありますので、妊娠中・授乳中の方は思わぬトラブルが起きないともかぎりません。
”妊娠中の方でも安心して飲めます”という根拠がどこにあるのか、を明らかにしていない商品は要注意です。人気のある、売上NO.1のサプリメントだからといって、万人に合うという保証はありませんから。
特にアレルギー体質の方は、ハーブ系のサプリメントが体に合わないことがありますので、初めは少量から様子をみて、副反応などの症状がでた場合にはすぐに服用を中止し、かかりつけ医を受診しましょう。
また、高齢者や幼児がハーブ類をとる際は、成人よりも少なめにする必要があるといわれています。成人よりも内臓の代謝機能が未発達、または高齢により衰えているためです。
「ハーブティーで母乳が出るようになる」ってホント?
「母乳育児でお悩みの方に・・・!」とのうたい文句で、最近目にする機会が多いので私なりの考えを書かせてもらいます。
母乳に良いとされるハーブの薬効に、以下のようなことがあるそうです。
- 母乳の出が良くなる
- 母乳の質が良くなる
- 老廃物を流す
出産後、母乳が出なくて悩んでいる方にとっては、どれもうれしい効果ばかり。
確かに、一部のハーブにはストレスを緩和してくれる効果のあるものがあります。ラベンダーやレモングラスなんかが代表的ですね。
体に肉体的・精神的にストレスがかかると、交感神経が優位になり筋肉や血管が緊張状態になります。その結果、血流が滞り、母乳の出にも少なからす影響が出てしまうことがあるのです。
このような意味合いで、リラックスできるハーブティーは効果的と言えます。
とはいえ、母乳の量を増やすという点においては少し疑問が残ります。母乳は主に血液から作られているため、本来母体の血液量が少ないと十分な量の母乳が産生されません。
また母体の水分量や鉄分ミネラルなどの各種栄養、十分な睡眠・休息がとれているかなども母乳の出に影響してきます。血液の成分を増やすようなハーブが存在するのかもしれませんが、その薬効についてしっかりと下調べしたうえでハーブティーをとりたいですね。
流産の危険があるハーブ
妊娠中の女性が以下のハーブをとることは、禁忌となっています。
- カモミール
生理痛を和らげるが妊娠中は流産の危険がある
- チェストツリー
女性ホルモンに働きかけるため妊娠中は避ける
- パッションフラワー(パッションフルーツ)
妊娠初期は避ける
- マテ
代謝促進、脂肪を燃焼する作用があるため妊娠中は避ける
- リコリス
更年期の症状を抑えるホルモンに似た働きがあるため妊娠中は避ける
- セントジョーンズワート
PMSや更年期に作用する、女性ホルモンに働きかけるため妊娠中は避ける
- バジル
子宮収縮作用があるため妊娠中は避ける
- ローズマリー
子宮収縮作用があるため妊娠中は避ける
- フェンネル
女性ホルモンに作用するため妊娠中は避ける
- ジュニパー
解毒や利尿作用があるため妊娠中は避ける
- サフラン
PMSの症状を緩和するが妊娠中は避ける
結論
妊娠中、授乳中の女性がハーブをとることが良いか悪いかですが、個人的には体にいいこともあるけれど、悪いことの方が多い(赤ちゃんへの影響)と思います。(あくまでも私の個人的な考えです)
私が妊娠中は、つわりがありこれまでと食の好みがガラッと変わり、匂いにかなり敏感になりました。逆流食道炎のような胸焼けは妊娠後期までずっとありましたし、これが自分の体かと疑うくらい、普段の自分ではない状態でした。つまり妊娠中はこれまでとは明らかに違う体の状態が続きます(個人差はもちろんあります)。
ハーブは体になんらかの効果が期待できるものなので、そのときそのときの体質によって合わない可能性が大いにあり、思わぬ副作用がでる危険もあるのです。さらに、ハーブの成分は赤ちゃんの体内に長時間留まることがありますので、一度に大量にとらないこと。また、前述したように女性ホルモンに直接働きかけるカモミールやフェンネルは、流産の危険があるので妊娠中の使用は控えましょう。
「妊娠前から飲むのが習慣になっているから」「人から良いと聞いたから」飲むのではなく、ハーブの効果や特性をしっかりと理解したうえで、ご自身が納得されたものをとりたいですね。
自生しているハーブの中には毒性の強いものもありますから、むやみに収穫しないことも覚えておいてください。
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